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Sessions

パラレルセッションズ13 – 豊かさと汎用性を併せ持ったエレメントの開発は可能か? –

日時:2016/10/10  15:30〜16:30

会場:建築会館ホール、他

テーマ:豊かさと汎用性を併せ持ったエレメントの開発は可能か?

ゲストコメンテーター:青木淳|青木淳建築計画事務所

【登壇者(予定)】

小原えり
大野竜也
金田泰裕
森藤文華+葛沁芸
山田織部
笠島俊一
山口陽登
Sébastien Martinez Barat & Benjamin Lafore
松澤広樹
山口 純
藤田雄介

空間性更新最適化

5 comments for “パラレルセッションズ13 – 豊かさと汎用性を併せ持ったエレメントの開発は可能か? –”

  1. 小原えり より:

    グループ13の皆様

    メールでのやり取りにあった議題に関して、私の意見を追加したものをアップします。

    セッション00の議論内容への笠島さんのご指摘とそれへの回答

    >「選択しない」という価値観がある一方、何かしらを決定することも必要なのではないか。磯崎さんの「切断」の話に遡及するのか。

    60年代のプロセス・プランニング論のなかで、「切断」は予測不可能性の中での終末の想定、そしてそれを許容するスケルトンを作るということだったと理解していますが、恣意的な切断を行うことについては、私は少し違和感を覚えます。先ほど、設計者がどこまで関わるかという話がありましたが、どんなにプロセスに沿った空間であっても、そこに存在する人間は予測不可能な使い方をし得るし、ある程度のフレキシブルさをその空間に見出してしまうという実感が、建築、都市のスケールとしてもあるからです。
    ただスタディのレベルですが、幾度の切断にも耐えうる、その時点において完結している空間自体には関心があります。そのような空間構成に、もう少し広い意味での「汎用可能性のあるエレメント」の手がかりがあるような気がしています。ここでは「豊かさ」の話は置いておきます。

    このあたりについてもう少し議論できれば、と考えています。

    >今後、人工知能が代わりに設計、提案するようになるかと考えるが、そのような将来に対してどのような立場をとるか。

    ここで人工知能についてですが、AIとBIMを活用したシステムや、3Dモデルを自動生成するものが開発される今、その利用価値はあると思います。特に今回の私たちのグループのテーマである「汎用」というキーワードと密接な部分で設計に関わってくるのだろうと予感しています。

    しかし個人的な話になりますが、今、私は取り組んでいる書院造の空間構成の研究で、ソフトを利用し幾つかの視点に注目しながら自動的にデータを生成しています。とても早く便利ですが、100以上の平面解析を行う中で、データとして取り出せない、ソフトの能力に欠落しているものを感じています。それは、実際に現地のある空間を見たときに瞬間的に感じる情念の様なもので、解析結果に現れません。また、物理的空間には現れない、空間の性格、表裏を無視した解析結果が機械的に現れます。それは単調な解析結果にとどまり、ゼロ地点からの観測結果という意味で一定の価値(特に汎用を考えるとき)はありますが、やはり人間のもつ根源的なものを欠いているように思います。

    >伊勢は特殊解であって、そのシステム利用と転用は矛盾・破綻しているのではないか。

    セッション00で出ましたイセ・システムのアイディアですが、私はそれを実行するアティチュードとそうさせる建築空間に関心があります。「式年遷宮」という言葉に注目すると特殊性がありますが、伊勢に限らず寺院でみられる再利用された部材(現代では松澤さんのアイディアのようなものに繋がるかもしれません)や、都市計画道路の問題等によりある場所からある場所へまるごと移築された個人住宅(木造)を見ると、それらには物理的ではない「強度」があるように思います。
    そしてそれが、「汎用可能性のあるエレメント」に豊かさを映すことができるかということに関わってくるのではないかと私は考えています。

    山田さんが議論の流れと、伊勢に見出される「強度」について、メールにて書いて下さいました。これについても、まだ議論を深めることができるかと思います。

    • 山口陽登 より:

      みなさま

      情報共有ありがとうございます。

      • 山口陽登 より:

        途中で送ってしまいました。。

        伊勢神宮、式年遷宮のシステムを利用するというよりも、そこで起こっていることをポジティブに読み替える、誤用するようなイメージでしょうか。そして、その前提に立った時にどのような建築空間が考えうるのか。

        「強度」「伊勢神宮」というと、何か全く新しいシステムの発明のように聞こえますが、もっと日常の延長線上にあるようなイメージかもしれません。当日も言葉にしましたが、「村のおじいちゃん」や「かつて職人だった人」のような存在がとても重要で、このアイデアと「人」はセットになるような気がしています。いわば「伊勢とブリコラージュ(ブリコルール)の間」のようなことが考えられるととても面白いと思っています。

        その意味で、織部さんがメールで送ってくださった、青木さんの実践(http://10plus1.jp/monthly/2016/06/issue-03.php)はとても示唆的ですね。青木さんはパラディオのような強い形式を「マーケット広場」として街に持ち込んだ。パラディオの形式自体はとても特殊解だし、強度があるのだけれど、それが十日町という具体的な場所に誤用されることによって、人が動き出し、街が動き出す。「伊勢と日常のあいだ」を考えることが、豊かさや汎用性、エレメントといったことにつながれば良いのですが。。もう少し議論が必要ですね。楽しみです。

        私は1限目の授業を大阪で終え、慌てて向かっています。14:30までに到着できると思います!

  2. 松澤広樹 より:

    グループ13の皆様

    「所有の概念の変化」、「地域資産の再認識」「公共性、私性の融合」という観点で、自分なりに考えてみました。

    「時間を定めること」で、新しい価値が生まれるのではないでしょうか。
    銀座や表参道など地価が高い場所では事業を興したくても、金銭的理由から土地の入手を断念せざるを得ない状況がある。しかし、定期借地権を活用することで、土地を所有するのではなく土地所有者から(仮に)10年という期間借地を行い事業を行う事が出来る。
    その場合はもちろん、事業を行う本部機能を持つ建築の寿命は10年。
    その時に恒久的な素材である鉄やコンクリートを用いるよりも、木という建材を使うことに意義が生まれる。また、土地所有者も土地を「所有する」のではなく、「所有しない」ことで事業を成立することができているという事業サイクルも成り立つ、定期借地権は所有の概念をすでに変えている事例です。

    仮に、銀座や表参道の地区を定期借地権30年地区と制定し、30年毎に生まれ変わる地区とすることで、新しい都市スケールでのメタボリズムのような状況を発生することができるのではないでしょうか。

    稚拙な考えですが、解体後の建材に事業主の会社ロゴ(例えばLV)を刻印し次の建築へと利用することで、熊本城の石垣から戦国時代に掘り込んだ観音菩薩が見つかった時のような驚きを、後世に引き継ぐことができたら面白いかなと思いました。1つの意見として。

  3. 山田織部 より:

    グループ13の皆様

    少々雑ではありますが、セッション00での議論の内容を書いてみます。
    議論の流れをそのまま書くような形になります。
    また、多少、個人の解釈が入っているかもしれません。
    他の解釈などありましたら、コメント頂ければと思います。

    ————————————————————————————————————————

    それぞれの取り組んでいるプロジェクトから出てきたキーワードを
    ポストイットに書込み、机の上に並べ分類。
     ↓
    そこから出てきた「時間」というキーワードに焦点を当て、議論を進める。
    長期的な時間、中期的な時間、短期的な時間、永遠の時間、超短期的な時間など、
    設計の際に対象とする時間の範囲について意見を交わす。
     ↓
    しかし、議論は発散していく。
    そこで、一旦、「未来」について焦点を当てる。
    「理想の未来」に関してキーワードを挙げていく。
     ↓
    ここで「選択しない」という言葉が挙る。
    他にも「移動的定住」や「2択は4択である」など、選択肢を多く持った上で
    「どちらも選ばない」もしくは「どちらも選ぶ」というような価値観や、
    そもそも「選択を放棄する」といった価値観がキーワードとして挙る。
    選択することが負荷であり、そもそも選択することが難しい社会状況であることから生まれた価値観だと結論づける。
     ↓
    この選択することが困難な状態を打開するための要素として
    「強度」というキーワードが浮かび上がる。
    圧倒的で絶対的、揺るがない「強度」を持った何かがあったとき
    状況を打開できるのではないかと話が進む。
     ↓
    ここで「伊勢神宮の式年遷宮」というアイディアが出てくる。
    伊勢神宮は20年に一度、神様のお引っ越しというストーリーのもと、
    建築物を建て替えることで、その形式を保存している。
    そして、その建て替えが中心となって、周辺にある神社なども更新していく
    (解体された伊勢神宮の部材を使って周囲の神社が補修される)。
     ↓
    周期的に周囲を巻き込み更新しながら、
    過去と同じ状態であり続ける伊勢神宮の形式にある種の強度を見いだす。

    この形式をベースとして、現在の社会への応用可能性を探る。
    それぞれの地域や場所にある「資源」を用いて、公共建築を建築し、
    その建築が役割を終えた後、建築が物理的に解体され、地域に循環していく
    (部材が個人の住宅に使われたり、家具が作られたりなど)。
    そういう循環の仕組みを1つのプロトタイプとして提案するのはどうかと意見が収束する。
     ↓
    このような仕組みが成立する社会像も同時に描いていく。
    「所有の概念の変化」、「地域資産の再認識」「公共性、私性の融合」、などのキーワードが出てくる。
    物理的でもあり、概念的でもある「境界」が無くなっているような社会像が描かれる。

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