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前現代

「前現代」とは、現代のちょっと前の、今とは少し異なる時代のことを指す。たとえば、持ち家・専用住宅(地)が主流となる社会的なしくみが構築される過程としての1950年代から60年代。地方都市にはこの時期につくられた住まいが今もストックとして存在している。それらのなりたちを調べてみると、建築のかたちや社会のしくみが現在とは少しずつ異なるけれども、まったくかけ離れているわけでもなく、手をのばせば届きそうな住まいの多様なありようをみいだすことができる。住宅の物的水準や所有形態は、住まい手の社会的・経済的な属性と対応関係がある。つまり、多様な住宅がストックとして存在することは地域社会の持続性や居住機会の開放性に関係する、という仮説がありうる。不確実性が高まる社会のなかで、自律的な流動性を尊重するとはどういうことか、そのための都市や建築をどのようにかたちづくっていくか。わたしたちはこれらの構想に際して、前現代の住まいの多様性を手がかりにできるのではないかと思われる。

小山雄資

鹿児島大学
専門分野|都市計画・住宅政策
活動地|鹿児島県鹿児島市
生まれ|1981

[現在のプロジェクト]
鹿児島大学建築学科・建築理論研究室では、地方都市を主なフィールドとして、「前現代」の住宅ストックの再評価に関する研究に取り組んでいる。「前現代」とは、現代のちょっと前の、今とは少し異なる時代のことを指している。具体的には1950年代から60年代のことである。地方都市にはこの時期につくられた住まいが、今も「ストック」として存在している。たとえば、鹿児島では商工行政の一環として、住宅協会が店舗付の賃貸共同住宅の建設を先導していた。奄美大島の名瀬には、地場産業・大島紬の織工さんのためにつくられた住工併存の共同住宅が点在している。桜島の近くには、火山灰を資材としたセルフビルドの農村住宅がモデル的に建設されていた。これら住まいのなりたちを調べてみると、建築のかたちや社会のしくみが現代とは少しずつ異なるけれども、手をのばせば届きそうな都市や建築を構想することができる。
2016地域資源更新サスティナビリティ

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