世代のつなぎかた
地方の建築業界の状況を概観すると、これまで業界を支えてきた団塊の世代の人々が退職していくものの、事業を引き継ぐ人材の不足により、様々な技術やノウハウ継承の断絶が生じている。同様に事業者や地域においても、世代交代に伴う事業継承や相続の時期を迎えている。これらは建物の更新とタイミングが重なることも多く、これらに起因する案件を担うことも多い。高齢社会を迎え、時代が急変する今日、世代を繋ぐことに関する議論がより深められ、また建築設計事務所においても事業の引き継ぎ方を考えることが大切だと感じている。

白石卓央
株式会社愛媛建築研究所、NPO法人クオリティ アンド コミュニケーション オブ アーツ(カコア)、瀬戸内アーキテクチャーネットワーク
専門分野|意匠・まちづくり
活動地|愛媛県
生まれ|1981
私は東京での不動産開発の企画やマーケティング等の実務を経て、建築設計事務所の二代目として出身地の愛媛県松山市に戻りました。現在、松山を中心に設計事務所としての実務を行うとともに、アートプロジェクトのマネジメントを担うNPO・団体のメンバーとしても活動しています。
業務や活動の拠点のひとつである三津浜は、かつて海運で栄えた松山の港町です。時代の変遷とともにかつての賑わいは色あせてしまいましたが、近年、県内外からユニークな人々が移り住むなど、新たな魅力が芽生えつつあります。
三津浜チャレンジショップは、この地の空き店舗を改修し新たなお店を誘致するプロジェクトです。開業に際しては、地域団体や行政との対話を通じて改修デザインを行い、店舗の事業者を誘致。オープン前にはこの場所を利用した地域のアートプログラムを行うなど、店舗がこの地に根差すきっかけとなる取り組みを行いました。現在は、海外のクラシックバイク(自転車)を扱うお店が入居。この事業の順調な推移を経て、次なる店舗の開業を目指した取り組みが動き始めています。
「三津浜チャレンジショップ」におけるアートプログラム