30年後の都市と、建築のためのウェブプラットフォーム

そこにはない自然環境

80年代生まれの僕らの建築教育は「敷地周辺のコンテクストを分析し周囲の自然環境を積極的に取り込み利用することで地域と馴染んだ建築空間が創出され、その結果地域コミュニティの核となる建築を生み出す」といった、所謂地域コミニティ論を中心に展開されていた。そしてそのケースは地方で人口も減少傾向にあり、コミュニティの衰退化した都市モデルがイメージされた。  対し成長(成熟)を続ける都市部においてのコミニュティ論による設計手法には懐疑的な印象である。それは取り込める豊かな自然環境がないことや、元来ないコミュニティを周辺コンテクストから導くことの不自由さによる。  しかし建築はアクティビティやコミュニティが介在することで活かされるのは事実である。ならば新たなコミュニティを創出するきっかけを建築自体が持ち合わせられないだろうか。道端の木陰に人が集まり、または夏の夕べに涼を求め浜辺に集まり会話が始まるような、そういった自然現象によってつくられるコミュニティを建築の中に具現化できないか。  風そよぎ、光がたゆたい、四季を感じ、時間を意識できる、そういった自然由来の環境を建築に内在化すること生まれるコミュニティの形成。周辺の環境コンテクストに乏しい都市部であっても、「そこにない自然環境」を創出する環境創造装置としての建築を考えたい。

藤平真一

株式会社久米設計 設計本部 建築設計部
専門分野|意匠
活動地|東京都
生まれ|1982

[現在のプロジェクト]
 久米設計東京本社にて、教育施設、研究施設、医療施設、業務施設などの設計に従事している。ある種の公共性(個人住宅でない)を持ち、比較的規模も大きい建築に関わることが多く、そういった建築であるが故に成せる建築の在り方のを常に意識している。ここ数年関わる実作は都市部に立地することが多く、郊外の豊かな自然環境を享受し共生する建築の在り方とは異なるケースである。建築の心地よさは人によって創造された空間に想像を超えたシーンが生まれること(人々の営みが生み出すストーリーであったり、或いはフォトジニックなワンシーンであってもよい)で在りたいと感じている。
 都心部に建つ大学施設の設計では、郊外型建築の典型にある周囲の豊かな自然環境を享受することで、建築の心地よさを見出す設計手法はそぐわなかった。ここでは借景的に自然を取り込む受動的な手法でなく、創造する建築のなかに自ら外的環境を創り出す、能動的なアプローチの仕方を試みた。建物外の太陽光や卓越風といった条件を考慮・利用しながら、建築内に「風が流れ、自然光が注ぐ」空間を目指している。
2016環境景観地域資源

都心部に建つ「外部環境を内在化」させた大学施設

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