建築家の輪郭
建築家の役割が変わりはじめている。世界的にはコンサルティングやブランディングの領域でも建築家の役割は存在している。経済活動における建築家の役割は、見えるカタチをつくるだけでなく、見えない価値をつくることでもある。こうした仕事に魅力を感じる人はまだ少数だが、建築家の役割は設計以外にもあると皆少しずつ気付き始めている。 建築家が経営に関わる為には、エゴを捨てる覚悟が必要だ。そのかわりに世の中に普及し、愛される空間やブランドを経営者と共につくりだすというダイナミックな仕事が可能になる。思考からカタチまで一貫して扱える能力の可能性に建築家自身が気付いた時、旧来的な建築家の輪郭は無くなり、建築家が経営者のパートナーとして共に舵取りする時代がやって来るだろう。

山﨑智志
SAN
専門分野|意匠/広告/メディア
活動地|東京都/福岡県
生まれ|1983
大手広告会社にて建築家として企業•空間ブランディング、デザイン戦略コンサルティング業務等に従事。その後独立し、「建築/空間を切り口に“らしさ”を可視化する」ブランディングデザインスタジオSANを設立。SANの特徴は、企業の経営課題を「建築」を切り口に解決してきたことです。ブランディングで扱う領域は多岐に渡るが、それがどんな業種であっても建築•空間が必要無い仕事はありません。現在の取り組みは簡単に言えば、企業のコンサルティングとクリエティブを「建築」の力でブリッジさせています。例えば環境省によるキャンペーンでは、空間を起点にコミュニケーションやPRへとブリッジさせ、弁護士法人や医療法人のブランディングでは新しいオフィスや病院づくりから働き方や業界の仕組みそのものまでブリッジさせている。「PLACE kishicho」のような純粋な建築設計でも、建築物自体をメディアとして情報発信することで、施主である不動産会社のブランドコミュニケーションへとブリッジさせたプロジェクトです。
ファイル①③:©katsuhiko suzuki 、ファイル②:©Advance Legal Professional Corporation