利他的建築

利他的というと、建築家が自らを犠牲にして建築主などの利益を最優先にすることを想像するが、我々の考える利他的建築とはそういった意味でなく、主体である建築が社会や未来を優先し、ある種のエゴを捨てて犠牲になるという意味である。建築家も建築主もやはり何かを犠牲にし、それによって何かしらの利益を得ることが建築行為には含まれているのは事実であり、そういった先に建築がある。しかしながら、建築は目に見える期待に答えている以上にその時点では想像できない環境や社会、未来などとの多数のつながりときっかけを生み出しているのである。

画像クレジット:藤井浩司/ナカサアンドパートナーズ

小引寛也
石川典貴

一級建築士事務所 小石川建築/小石川土木
専門分野|意匠
活動地|東京都港区
生まれ|1980、1981

[現在のプロジェクト]

我々は東京都港区を拠点にした小石川建築/小石川土木という建築設計事務所を共同で主宰している。どのプロジェクトにおいても、場合によっては気づかない様なその場所毎のルールを拾い出し活用しながらも、最終的には既存のルールを少し歪めたあらわれ方を実現することを心掛けている。気候や風土、文化、歴史、または生活リズムや空気、素材などの状況をその場所で再構築することによって生まれる調和と違和感を非常に重要視しているのである。
「石の祈念堂」では、地元の素材である玄昌石スレートを割れているものも含めてリサイクルするため、小端積みとスレート葺きというその場所でしか成立しない使い方により建築化を実現することで、材料の親近感と使われ方の違和感が建築自体の特殊性をより強く表現することとなった。我々の建築行為においては、規模やビルディングタイプ、例え分野が異なる領域においても常に同じ考え方で取り組んでいると言える。

2016 地域資源更新材料

藤井浩司/ナカサアンドパートナーズ,鳥村鋼一

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