どちらでもない状態

新築でもリノベーションでもなく、建築でもインテリアでもない。開いてるわけでも閉じてるわけでもなく、組織でもアトリエでもなく、シェアでもオーナーでもない。そんな状態をつくりたいし、そんな状態でありたい。
専門分化するのではなく、統合するのでもない。いまある選択肢から選択するのではなく、冗長性によって多様な建築のあり方が実現される社会は豊かだと思う。

photo by JUNICHI YAGINUMA

山口陽登

シイナリ建築設計事務所
専門分野|意匠
活動地|大阪
生まれ|1981

[現在のプロジェクト]

【2017】一乗寺のリノベーション
京都に建つマンションの一室をリノベーションするプロジェクト。3面に窓があり、西には景色が開けた屋外廊下と玄関があり、東の瓜生山から西の高野川に向かって風が気持ち良く抜ける。部屋は5Fに位置し、幸運にも北には避難場所となるルーフバルコニーがあり、自由には使えないが、それでもゆったりと過ごすにはちょうど良い余白を与えている。この部屋を見て、漠然と「敷地」として捉えられないか、と考え始めた。内装のしつらえと、間仕切り壁によって生み出される間取りを考えるのではなく、豊かな周辺環境に対応した構築物を、この敷地に建てる。
部屋の真ん中に部屋とも家具とも言い難いスケールの構築物を鉄骨造で建てた。柱と梁は25mm角のスチールパイプで構築されている。たくさん穴が空いていて、この構築物によって、部屋の中に幾つかの居場所が設定される。建物と外構のような関係を生み出すリノベーションである。
【2018】障がい者と地域の方々がスポーツと文化を通じて交流をはかるための建物の計画。木村松本建築設計事務所と共同でプロポーザルに応募し選定された。敷地は兵庫県で、敷地周辺には老人福祉センターと大型児童センター、障がい者の事業所、ボランティアの拠点施設などがあり、その全てが公益財団法人による出資により実現しており、民間の資金で公共性の高い場所が面的に生まれている。 設計は約100人で構成される「みんなでつくるプロジェクト」のメンバーと私たち設計チームによって行われる。「スポーツ部会」「文化交流部会」「商業部会」の3つの部会を中心に、それぞれの部会での議論を設計チームにフィードバックし、建築計画を進めていくというプロセス。そのような多種多用な議論を受け止める大きな器としての構造計画が必要と考え、1Fと2Fに道路からつながる人工地盤のようなRCの大地を2枚作り、その大地の上に木造の各室を配置している。

【2019】セッションリーダー
参加セッション:セッション33「ボランティアマインドは公共空間をどのように変えるか? 」

2016201720182019 ローカリティ参加更新環境福祉空間性
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