都市の時代

21世紀は都市の時代である。30年後の未来―2050年頃には、世界の総人口は90億人を超え、そのうち3分の2が都市部に集中すると予測されている。私たちの世代は、想像を遥かに超えた巨大で複雑な存在を相手にしていかなければならない。その状況下で価値判断の指向や認知先導を行うためには、まずは立体的な視角で都市を分析する定量的な分析手段が必要であろう。私が所属する雲河都市研究院では、「中国都市総合評価指標」という都市評価指標を開発し、中国の都市化に関わる問題において先見的な価値判断を示すことに成功した。今後は指標の評価範囲をアジア広域まで拡大することを当面の目標としているが、私はその過程の中で、単純な未来を描くことが難しい時代の中で模索と苦悩を続けてきた「私たちの世代の新たな価値観」が重要な役割を担う予感を抱いている。

栗本賢一

雲河都市研究院
専門分野|都市
活動地|中国各都市、東京
生まれ|1981

[現在のプロジェクト]

私は中国を主な活動場所としており、建築から都市に至るまで様々なスケールを横断しながら設計や研究を行っている。最近では、中国の全295地級市以上の都市を定量データで比較分析する「中国都市総合評価指標」の開発に携わり、内容をまとめた書籍が昨2016年末に中国国内で出版された。この指標は中国国内で高い評価を受け、中国初の政府公認都市評価指標として認められた。今後も続けて毎年公表していく予定である。

今回のパラレル・セッションズのテーマ「動く、動かない」には大変興味を惹かれている。「動くもの」と「動かないもの」の価値は、それらを結び付ける「つながり」の性質によって決定されるのではないだろうか。様々なバックグラウンドを持った90人のメンバーが生み出す「つながり」が新たな地平を切り開くことに大いに期待したい。「つながり」の優位性を巡る都市間競争の激流に翻弄される日々を送っている私にとって、今回のイベントはまたとない機会である。

20162017 海外環境観光開発

Cloud River Urban Institute

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