開くと閉じるのバランス

エアコンが室内環境を調整し、人々の活動は屋内に閉じこもり、屋外を使いこなしていた地域のコミュニティが弱体化した。そして、インターネットが個人と世界を繋ぎ、多様なストーリーを過剰に生み出し、個人が重視され、それまで外に向いていた意識を個人の中に閉じこめた。これまでに、様々なものを閉じてきた。グローバルに考えれば、閉じることが効率的であり、経済活動を生み出しやすい側面もあるが、ローカルの現在を考えれば、医療・福祉や経済循環の回復など、「閉じる」だけでは成り立たない側面もあると感じている。 今、人口減少の波が地域の集落を閉じさせようとしている。集落存続の是非は、住民の手に委ねられるが、それを考えるには時間が必要である。時間を作るためには、これまで閉じてきたことを「開く」必要がある。コミュニティの力を回復させ、意識を地域に向け、他者を受け入れる環境を整える。
開くと閉じる。この2つをバランスよく共存させることが今の地域づくりに求められることではないだろうか。

市村良平

フリーランス
専門分野|まちづくり・マネジメント
活動地|鹿児島県内
生まれ|1986

[現在のプロジェクト]

鹿児島県内を中心に、地域や企業、コミュニティの持つ課題や資源を整理し、目的に向けて事業を円滑に進めていくマネジャーとして活動している。主な活動として地方都市の中心市街地のタウンマネジャー業務、中山間地域の小学校跡地活用プロジェクトへの参画などがある。各プロジェクトでは、各地域に眠っている資源や抱えている課題を掘り起こし、それをもとに持続可能な事業や活動を作り、適切な規模感、内容でのソフト整備、ハード整備を行っている。
複数のプロジェクトを通して、地域の資源や課題、住民の性格も千差万別であると感じると同時に共通していることとして、現在の地域に対する閉塞感(集落存続の危機感、コミュニティの弱体化、経済循環の不調など)を住民が抱いていることも感じる。そして、一定数の住民が未来に向けて、その閉塞感の解消に取り組もうとしており、地域がこれから好転するかもしれない岐路にあることがわかる。マネジャーとして、住民が長期間にわたって活動を取り組めるよう、プロジェクトで「やりたいこと」「できること」「求められること」のバランスを考えながら進めている。

2016 マネジメント中心市街地地方
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