都市に生きる能動性
都市は依然として可能性に満ちている。もっと都市を楽しみ、人々がそれぞれにしたいことをできる場を生み出すことで都市がもっと良くなると楽観的ながら信じている。アーバンキャンププロジェクトは、都市でのキャンプを通じてひとときの都市住民を生み出し、その都市を皆で楽しむ。通常のキャンプと異なり、周囲の都市生活者に混ざり、自らがコミュニティを生み出し、またどこかのコミュニティの一部になるという体験。参加者が能動的にその都市に生きることを共感する。 おそらくアーバンキャンプだけで都市は良くならないだろうが、アーバンキャンプが実施できる都市には寛容性があり、能動的な人が活き活きとする良い都市だ。そんな力を引き出すための都市デザインがもっと必要だ。アーバンキャンプは活き活きとした都市の日常をつくるきっかけに過ぎない。都市のわくわくする能動性が求められている。
中島 伸
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻都市デザイン研究室
専門分野|都市
活動地|東京都
生まれ|1980
東京大学都市デザイン研究室にてスタッフ学生たちとともにプロジェクトを進めている。現在は福井県旧三国町で空き町家を活用したまちづくり戦略の検討と実践を継続している。私たちは調査に基づく都市デザインの提案と実践を地元と協働しながら進めることを旨として、空き家の発生という不確実性をどう計画的に都市空間を再編するかということを検討している。空き家はいつどこで発生するかわからない。これらを都市のストックとしていかに活用するかが問われている。一度つくられたものを次の使い手にどう引き継ぐか、そのためのビジョンと実践が求められている。三国では、これからの空き家空き地活用の一環として、元々町家が立地していた公園と隣接する低未利用の倉庫の改修を福井大と共同して基本計画・設計を行った。これまでの都市の文脈を継承し新しい町並みをつくる公共空間づくりを通して空き町家の今後の戦略的活用展開を展望したい。
マチノニワ(福井県旧三国町の公園改修事例)/アーバンキャンプ2014・2015