自助・共助・公助

震災復興の現場から多くを学び思考を繰り返してきた経験から、これから先の30年は、失われつつある価値を再編する時代だと考えている。高度経済成長を経て格段に生活の利便性が向上し、多くのモノを簡単に得られるようになった現代は、その利便性ゆえに逆説的に多くのモノを失いつつある。それは長い年月を経て蓄積してきた日本独自の空間概念であり、自然との付き合い方、四季の感じ方、生活の知恵、人間関係などだ。そのような人々の”術”を学び、発掘し、広く伝えるとともに、実際に使う、という取り組みを通して、人間元来の自助力を育み、共同することによってその力を強くする。そんな自助・共助の文化を再構築すべきだと考えている。更に、公助とは人々を守るものではなく、人々を助けるものだ。自助・共助力を自発的に養い、公がそれをサポートする。そんな災害対策や地域活性化のあり方を目指したい。

佐藤布武

筑波大学芸術系 / 大学院世界遺産専攻 助教
専門分野|農村計画 / 歴史 / 意匠
活動地|宮城県石巻市牡鹿半島
生まれ|1986

[現在のプロジェクト]

学生時代から現在まで継続して集落研究と地域活性化を両軸とした研究活動を行っている。集落研究では、地域特有の災害対策や気候条件適応に着目し、周辺活用・集落内・屋敷地境界・民家空間という様々なスケールでの空間分析を主たる手法とした研究を蓄積している。更に、研究成果に基づく実践活動展開にも力を入れており、宮城県石巻市牡鹿半島で海から山までの地域資源を活かした集落活性化に取り組む。漁業後継者育成事業や伝統的な間取りを持つ民家の改修、山道再生などの山林利用促進などを行ってきた。建築的思考をベースにしつつも、活動対象を建築に限らず、地域を支える多くの人々と積極的に連携を図っている。理論・実践の両軸からの研究蓄積により、古くからの日本人の生活の知恵に学び、現代では潜在化してしまっている地域の知恵を呼び起こし、積極的に活かすための知見を見出すことを目標にしている。

2016 ローカリティ福祉防災

1.近代化以前の集落土地利用 / 2.民家再生プロジェクト(筑波大学貝島研究室在籍時) / 3.山林整備後の山道ツアー(筑波大学貝島研究室在籍時)

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