中景をつくる

建築をつくるということは、シーンをつくることである。家の中・街中・自然の中などを、シーンとして表現することで様々なスケールの時間と空間が共有可能となる。異なるスケールのシーンがつらなることで、大きなシーンの総体が《風景》として立ち現われる。現代の街並みのようなちぐはぐな風景は、物質的な制約が緩み人々のバラバラとなった志向を反映し、シーンに断絶が生じた結果である。風景に再び人々を巻き込む為には、個別のシーンにとどまらずシーンを繋ぐ大きな流れを共有する必要がある。人々の関心は、ハコモノから日常に根ざしたスケールのシーンへとうつりかわってきている。こうした新たな視点から、これまで見えてこなかった価値の創造や試みが可能となるだろう。しかし、近景や遠景のような個別のシーンのみにとらわれる事の無いよう、新しいシーンと古いシーンを繋ぐ役割を果たす、中景となる建築をつくっていきたいと考えている。

yuki horikoshi

堀越優希

株式会社山本堀アーキテクツ
専門分野|意匠
活動地|東京
生まれ|1985

[現在のプロジェクト]

アトリエ設計事務所で働きながら、ドローイングの発表、製作依頼を請けています。
・「家の理」(絵本) 平凡社 著・難波和彦:表紙及び全ページ
・「PROMINENCEⅠ」東京書籍:挿画
・ JJ展2011,Emerging Trajectories展2014、等
設計事務所では南相馬市の復興拠点施設の担当者として、プロポーザル、住民ワークショップ、基本設計…という流れを経験してきました。復興とはいえ、原発事故により避難を余儀なくされた地域であり、国内における生活の最前線ともいえる場所です。行政の仕組み、個々人の事情、信念のぶつかり合いによって様々な困難な状況が生じる中で、そういった状況を動かすプレイヤーのひとりとして、建築の設計が誰に向かい合うべきなのか、何を目標に、どのように実現することが可能か、といった問題を考え続けてきました。ここでは、「生活者の目線としての建築家の職能」について、根源的な問いかけがなされていると感じています。
肌感覚で空間を思考ツールとして、ドローイングが役立つと考えています。空間を誤魔化すのではなく、イメージを発見し共有化することを目指して製作を行っています。

2016 地方景観環境

yuki horikoshi

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