境界から生まれる建築
キーワードとした理由として、2つの大きく異なる理由がある。
一つ目はシンプルに自分の建築に対する考え。これは活動サマリーでも触れたが、“透明性”“レイヤー”“境界”という視点を持ちながら、建築を考えることで、空間デザインをしていく、コンセプチュアルなデザイン手法である。未来へ向けて、もっと追求していきたいと思う。
もう一つは、日本では考え自体を受け入れてもらえる場がないということへの訴えである。留学して感じたことは、建築は芸術として評価されるということだった。表現としての側面を持ち、それに対する専門性と評価軸があることは、結果として大きな差を生んでいるのである。歴史的、文化的な背景があるとしても今後変革していくべき課題だと強く思うので、ここで追記しておく。
(“透明性”“レイヤー”“境界”という視点を持ちながら、建築を考えること、がこれからの建築や社会、そして文化に対してどのような意味や貢献を可能とするのかを書いていただけますか?)
関野一真
専門分野|意匠
活動地|名古屋
生まれ|1987
日本の建築の将来へ貢献する可能性のある活動として、イギリスにあるウエストミンスター大学の大学院へ留学した際に取り組んだ研究を活動サマリーとして、紹介する。 私は建築を考える上で、空間を分断するものとして認識しており、そして、建築とは境界から生まれるものとして考えられるのではないかと思っている。それを説明する上で、“透明性”“レイヤー”“境界”をいうキーワードをもとに“境界から生まれる建築”について考察したものを論文にした。この考え方は “境界“に関して様々な考え方を持つ日本人的な発想であり、外国にしてはあまり馴染みの少ない考えだと思う。日本の生活環境は四季の影響もあるが、建築に対してとても柔軟な考えを持つことのできる環境である。日本で暮らし、感じていることを海外で発表し、考えを共有することは意義のある活動だと思い、未来を予兆するプロジェクトの一環を担うことができれば幸いである。
自分と大学