板坂 留五
専門分野|意匠
活動地|東京都
生まれ|1993
つくづく、街「らしさ」はそんなに簡単に見つかるものなのか、
そして、そんなに簡単に共有出来るものなのか、と不思議に思います。
街に溢れる「らしさ」は、住人の日常的な無意識の判断によって現れているため、共通した歴史的背景や形を持ちません。
こんなわかりにくいものを、本当の意味で共有することはできないのではないでしょうか。
共有することを目的とせず、そのままにしておくことはできないでしょうか。
そんなことに興味があり、街の観察と建物の設計を両輪で行うことを試みています。昨年の春から始まった、淡路島東浦地区の店舗兼住宅を実施設計を通して、それを試行しています。
主軸となるのが、私が「カケラ」と呼んでいる街の風景です。ガラスの温室や、地場産業である海苔の工場、昨今急増するハウスメーカーのサイディングなど、出自もスケールもバラバラな風景たち。 これらを歴史的観点から価値づけやカテゴリー分けするのではなく、見たままのそこの風景として等しく扱いました。
実測やサンプルを用いた工作、図面に置き換えるなど、ものに合わせスタディ方法を選択しながら、そこに新たな意味や造形を見出して行きました。そこから生まれたものとして、設計物がありますが、カケラが持っていた多様な情報があります。
風景を集め、それに向き合うことで、建物と街に対して意識が浸透していく実感がありました。次は、この建物が街に与える影響について考えたいと思っています。設計の中で現れる新たなディテールや形式を、次のカケラとして開いていくことは可能なのか、そんなことが今頭の中に浮かんでいます。
参加セッション:セッション28「「メディアプラクティスとしての建築は可能か?」