離れた日常
建築は(少なくとも)2つのものの重なりの中に生まれるものだと考えている。
私たちは東京とバンコクの2都市を拠点に設計活動をしている。
文化、人、気候などあらゆる環境が全く違う中での設計活動は、一見なんの関係もないものの中から共通点を発見していくような作業だと感じている。
私たちはそのような2つのものの重なりが建築に変わる瞬間に興味を持っている。
交通手段、インターネットの発達などにより離れた日常が隣接するような状況はますます加速していく。そんな今まで以上に多様な価値観が隣接する世界の中で、2つのものの重なりの形を捉えることで、異なる価値観を共存させる可能性を持った建築を作ることができるのではないだろうか。
久米貴大
Chanvitan Wtanya
Bangkok Tokyo Architecture
専門分野|意匠
活動地|東京、バンコク
生まれ|1988、1985
タイの別荘地ホアヒンに海外からの移住者の為の住宅を計画している。
この土地の特徴は年間を通じて温暖な気候と、その環境が作り出す強く美しい森である。
この逞しい自然の中に住むということについて考えたとき、森の中に佇む小屋と深い洞窟という二つのイメージが浮かんだ。
RCラーメン+レンガ造という形式に、洞窟と小屋という言葉を与えることからこの建築は始まっている。RCラーメン造はタイの温暖で湿潤な環境、施工条件の上で、最も一般的な工法である。
2拠点居住などのライフスタイルが注目されつつあるが、このプロジェクトのように、海外からの移住者のための住居を、異国に、日本いる私たちが設計する、というような離れた経験をつなぐ手法が今後必要になっていくのではないだろうか。
このように離れた日常の接点の中に建築を位置付けることで、周辺とつながりつつ、多様な経験を許容するような場所が生まれるのではないかと考えている。