「民」と「官」の間にある公共性

日本の現状では「新しくて強い価値を持った」建物を設計する必要などなく、リノベーションやリフォームなど自分でも手の届きそうな範囲にある小さな環境の変化に尽力するしかない時代なのだろうと思っていた。東京に比べて急スピードで衰退する地方都市なら尚のことそうだろうと考えられるが、なぜか自分が巻き込まれている状況は違っていた。むしろ建築に期待されている感じがする。そこには「民」でもなく「官」でもなく、それらがつながった先にある「公」という考えがある。故北沢猛氏が指摘されていた「新しい公共性」に対して建築がどう関われるのかが問われている。現代を抽象化したような建築も捨てたくはないし、それが社会とリアルに地続きであってほしいと思っている。

yu momoeda

百枝 優

百枝優建築設計事務所
専門分野|意匠
活動地|長崎県長崎市、福岡県福岡市
生まれ|1983

[現在のプロジェクト]

私は福岡市を拠点に設計事務所を主宰しています。
現在、出身地である長崎市でいくつかプロジェクトが進行しています。
ひとつは寺町エリアのまちづくりです。
昨年からクライアントである民間企業が長崎市と共同してまちづくりを始めました。
民間企業が出資して借り手のいないテナントに路面店を出すことで、まちを活性化させようとしています。
「Spectacle Lab」と「Cafe Bridge」などすでに4店舗が竣工し、更にもう2店舗の設計も進めています。
ファサードとインテリアを連続して考え、接地階の表情を変えることで都市を明るくできないかと考えています

「forest hall」は公共の建物のある敷地内に民間のホールを増築するプロジェクトです。
民間企業が市から業務委託を受け、それに伴い80人ほど収容できるホールが必要となりました。
森に囲まれた周辺環境と、日本最古の木造教会である大浦天主堂という長崎が持つコンテクストに応じた設計となっています。
広大な農業公園の中で今後グランピングのようなキャンプ施設の展開が考えられているため、それらにも対応できる木の架構をここでは3層ほどの吹き抜けを持つ平屋という与件で展開させています。

2016 地方空間性開発

yumomoeda,tecni staff

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