人間関係の中にある建築

建築だけでなく衣服や食べ物などにおいても、ある特定の人やグループに向けてつくられたものと、なるべく不特定多数の人々に対応するものとしてつくられたものがある。これからの社会は今よりも前者の割合が高くなる。そうして一つのメジャーな価値観に納まらない人たちが増えていった時、施主と設計者は単に仕事を介した関係ではなく、むしろ人間関係の中に仕事が生まれると推測される。これまでの建築家は、都市計画や住宅政策において国家的な規模での価値を具現化することに大きな役割を持っていたが、むしろ個別の人間関係における価値を見出すことの中に失われていた可能性があるのではないだろうか。

星野千絵

辻昌志建築設計事務所
専門分野|意匠
活動地|関東
生まれ|1986

[現在のプロジェクト]

2011年に大学院を卒業し、ふたつの設計事務所での勤務を経て、ちょうどいま独立し設計をし始めたところです。世田谷区にある設備屋さんの店舗、足立区での調剤薬局の什器デザイン、川崎市にある賃貸住戸の改修などを行なっています。それらは、住宅街の中にありながら大きな架構スパンを求める鉄骨造であったり、オーナーだけでなくパートさんも含めたその場を使う全員の対等な合議によって形が決まっていくものであったり、既存の形式の集合住宅の中に街への価値を求める改修設計であったりします。私たち設計者がそれぞれのプロジェクトに対してそこでしかできないことを探しているのはもちろんですが、それ以前に、いまは施主の要望や与条件の個別性が高いと感じています。そして彼らが、まず特別な作品性を求めているような施主ではないのに、彼らのいる状況や考えにそれぞれ高い個別性が含まれているということに、未来のかけらを感じています。


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石井ビル403

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