「イメージ」から「空気」へ

近代とは、そもそも「過去との断絶」という意味を内包した概念であった。同時に、当時の都市イメージをみても、しばしば「未来(近代的なもの)」と「過去(歴史的なもの)」の二極化した意味が都市空間に付与されている。しかし、こうした時間軸に基づく意味構造は、「ポスト近代」と呼ばれる時代において、消失していく。すなわち、確たる「未来像」を抱くことは困難になっていく。代わって、都市の姿は、大量のデータ(情報)による無数の動きとして把握されていく。これらの動きは、一つのイメージとして都市の姿を浮かびあがらせることはないが、雑多な動きの総体がある種の「空気」を作り出していく。そこで生じた「空気」は、人々の価値規範と連動しながら、現代都市における人々の動きや思考のあり方を再帰的に規定しているのではないか。こうした見取り図のもと、我々が生きる「現在」の位置を改めて問いなおしてみたい。

吉本憲生

横浜国立大学大学院Y-GSA
専門分野|都市
活動地|横浜・東京
生まれ|1985

[現在のプロジェクト]

「モダンイメージ」と「モビリティ」という二つのテーマを核とし、研究を行っている。これら二つの研究はもともと別個に行っているものであるが、それぞれ「近代」と「現代」という二つの異なる時代の都市のあり方を捉えるためのアプローチではないかと考えている。前者は、未来・過去という時間の表象、後者は時間の流れそのものが問題となる。具体的には、前者に関しては、東京工業大学大学院における修士・博士過程在籍時から現在に至るまで継続的に行っているものであり、大正・昭和初期における大阪や東京という大都市を対象とし、主に雑誌・新聞等に残る言説を史料として、当時の都市空間がいかなる意味を持っていたのかについて検討している。また、後者に関しては、横浜国立大学大学院Y-GSAにて研究員として関わりながら進めているテーマであり、交通空間から都市を再構築することを目標として、人々やモノの動きからみた空間構造の検討を行っている。

2016 シミュレーション教育歴史認識

1枚目: 『写真で見る大阪市100年』所収  2枚目: 応募者撮影

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