建築電脳戦

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学生ワークショップ2023

建築電脳戦

AI×建築学生 最前線

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生成系AIは、建築設計にどのような変化をもたらすのでしょうか? 建築学生がその可能性を考えるには、実際に使ってみるのがよいでしょう。大学の課題では何らかの制限が加わるであろうAIの利用に対して、その制限を一切なくし、どんなAIを使ってもよいという条件で、学生が設計課題に取り組みます。画像や映像、さらには文章や図面も、AIで生成できる可能性があります。
一方、AIを活用する参加者のほかに、AIを使わずに設計を行う参加者も同じ課題に取り組みます。どの参加者がAIを使っているのか、明確にはわからない状態で講評を行ったとき、どのような結果になるのか? 生成系AIが急速に広まりつつある2023年秋に、「建築電脳戦」と題して2日間のワークショップを行います。当日の模様はどなたでもご覧いただけますので、ぜひご参加ください。もしかしたら、審査にもAIが加わるかもしれません。

<当日の観覧についてのご案内>(10月17日追記)
ワークショップ2日目の後半に、コンペの講評会を行います。
講評会の模様はどなたでもご覧いただけますので、この機会にぜひご参加ください。
対面・オンラインの両方で観覧いただけます。

日時:10月22日(日)15:00~
会場:対面参加  東京・建築会館ホール
   オンライン Youtube Live

※いずれも事前申込は不要です。
 オンライン参加の方は以下のアドレスよりご視聴ください。
 https://www.youtube.com/watch?v=ktUc4-cqznk

開催概要

協賛 総合資格/総合資格学院、建築資料研究社/日建学院、梓設計、エーアンドエー
日時 1日目 10月21日(土)9:00~19:00予定
2日目 10月22日(日)9:30~19:00予定
開催地 建築会館ホール(東京都港区芝5-26-20)※ワークショップ参加者のみ
講師 平野利樹(東京大学特任講師)
角田大輔(日建設計DDL室長)
石津優子(GEL代表)
秋吉浩気(VUILD代表取締役CEO)
司会 松田 達(静岡文化芸術大学准教授)
コメンテーター 山本 至(itaru/taku/COL.共同主宰)
ファシリテーター 加藤利基(SAMURAI ARCHITECTS CEO、慶応義塾大学システムデザイン研究科客員研究員)
対象 [ワークショップへの参加] 建築系の学生
[ワークショップの観覧] どなたでもご覧いただけます。
問合せ 学生ワークショップ2023専用アドレス
E-mail:archi.gakusei.ws.2023@gmail.com
観覧方法 ワークショップ2日目の後半に、コンペの講評会を行います。
講評会の模様はどなたでもご覧いただけますので、この機会にぜひご参加ください。
対面・オンラインの両方で観覧いただけます。

日時:10月22日(日)15:00~
会場:対面参加  東京・建築会館ホール
   オンライン Youtube Live
   ※いずれも事前申込は不要です。
    オンライン参加の方は以下のアドレスよりご視聴ください。
    https://www.youtube.com/watch?v=ktUc4-cqznk
参加校 東京大学、慶應義塾大学、東京藝術大学、東京都市大学ほか

開催レポート

 本企画は、建築文化週間の一環として、有志で集まった学生が主体となって、毎年新たなイベントを企画・運営するものである。今年は東京大学、慶應義塾大学、東京都市大学、東京藝術大学、大阪産業大学という5つの大学から10名の学生が実行委員として集まった。
 今年度のテーマは生成系AI である。加速度的に進化を遂げるAI が大きな衝撃を世界に与えた2023年において、デジタルネイティブ世代の建築学生がこの新技術を実験することには大きな価値がある。生成系AIは、建築設計のアウトプットやプロセス、さらには建築という概念そのものにまで影響を与えることが予想される。そこで「建築電脳戦─AI×建築学生 最前線」と題した本ワークショップでは、生成系AI により変容していく建築の未来を模索することを目標に、AIに関するレクチャーや議論を行うセッションと、AI を用いた設計コンペを、10月21日(土)と22日(日)に建築会館ホールにて開催した。ワークショップには首都圏だけでなく全国から48名の学生が参加した。また、審査員による事前企画や審査会当日のリアルタイム動画配信、学生ワークショップ専用Webサイト(https://archigakuseiws2023.studio.site/)上での生成系AIに関する解説記事の掲載、AI審査員によるコンペ審査、参加者の生成系AIへの所感に関するアンケートの実施など、さまざまな取り組みを行った。

審査員特別企画(10月12日、18日)
 参加学生のAIに関する理解を深めるため、10月12日(木)と18日(水)に、2回に分けて審査員による事前レクチャーをYouTubeで配信した。各審査員のAI との関わり方についてのレクチャーと審査員同士によるディスカッションを行い、アーカイブ公開後も含めて視聴者数は延べ600名ほどとなった。

ワークショップ当日(10月21日、22日)
 一日目の午前に行われたセッションでは、生成系AIに関する運営からのレクチャーとグループごとの議論を行った。ChatGPT、Midjourney、Stable Diffusion という3つの生成系AI の使い方や、著作権を始めとした諸問題について、専用Webサイトで事前に掲載した解説記事も併せつつ、生成系AI に関するリテラシーを身につけてもらった。一日目午後から二日目午前にかけて、「極限環境ニ建築セヨ。─もし、人間がそこに暮らすとしたら。」というテーマで、10のグループに分かれて設計コンペに取り組んだ。提出物の形式を完全に自由にしたことで、文章生成や画像生成、動画生成など、AIが得意な部分を最大限活用したさまざまなプレゼン方法が見られた。逆に、AIが苦手とする図面については人間が手作業で作成するなど、新しい共同作業の可能性が感じられた。コンペ審査の議論にはAIも参加した。各提案の文章や画像、プレゼン音声などを読み込ませ、100点満点で評価させるシステムを、既存の生成系AIを組み合わせ作成した。建築の評価自体がとても難しいものであり、現在の生成系AIもそれら全体を把握して論理的に答えを導くことができないため、まったくあてにならない点数を出してくることが予想されたが、意外にも審査員と似たような評価となり、参加者全体に大きな衝撃と動揺をもたらした。
 本ワークショップを通して、建築における生成系AIの活用方法だけでなく、建築という概念そのものや、建築コンペそれ自体に対して、多くの問題提起や論点が生まれた。今後さらに世の中に浸透していくと思われるAI について、さまざまな知見を共有していくための実験的なワークショップとなった。

コンペティション実施結果
金賞「Biomimic Human Augmentation」
大本和尚(立命館大学)、小俣陽也(日本大学大学院)、近藤誠之介(京都工芸繊維大学大学院)、杉原康太(大阪産業大学大学院)、長瀬ルナ(日本女子大学大学院)

銀賞「海上都市移住計画」
大場風太(広島工業大学)、藤井朋美(日本大学大学院)、宮下湧気(東海大学)、森文希(芝浦工業大学)、和田悠利(東京理科大学)

銅賞「Vartical Self-Habitat タワーマンションにおける垂直的暮らし」
菊池慎太郎(九州大学)、林泰地(早稲田大学大学院)、福本祐大(京都大学)、三澤楓(東京都立大学大学院)、米光陸(立命館大学)

※各審査員賞については専用Webサイト上に掲載。

[須藤望/東京大学大学院]

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