第13回 越前・若狭の建築文化探訪
武生の歴史的街並み散策
武生は北陸道の要衝として古代には越前の国府が置かれ、中近世を通じて府中と呼ばれました。慶長6年(1601年)結城秀康の越前国主に伴い、その家臣・本多富正が府中城主となり城下町が形成されました。武生の市街図として最も古い絵図である「正徳元年(1711年)府中図」で城下町の様子が知られます。城下町の中央をほぼ南北に走る北国街道に沿って主要な町家が続き、西側には多くの寺院、東側に侍屋敷や足軽屋敷が配されています。なお、現在の道路の多くが正徳年間のそれとほとんど変わりがありません。
武生の町家の多くが桟瓦葺切妻造平入で中庭を挟んで奥に土蔵を建てます。また、西側の寺院群も健在です。これらの多くは近代以降に建てられましたが、近世に遡る建物もあります。その中に木造の擬洋風建築や近代和風建築、RC造の近代の建物が点在しています。専門家の解説を聞きながら、武生の建物を楽しんでください。