武生の歴史的街並み散策

見学会

レポート

第13回 越前・若狭の建築文化探訪

武生の歴史的街並み散策

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武生は北陸道の要衝として古代には越前の国府が置かれ、中近世を通じて府中と呼ばれました。慶長6年(1601年)結城秀康の越前国主に伴い、その家臣・本多富正が府中城主となり城下町が形成されました。武生の市街図として最も古い絵図である「正徳元年(1711年)府中図」で城下町の様子が知られます。城下町の中央をほぼ南北に走る北国街道に沿って主要な町家が続き、西側には多くの寺院、東側に侍屋敷や足軽屋敷が配されています。なお、現在の道路の多くが正徳年間のそれとほとんど変わりがありません。
武生の町家の多くが桟瓦葺切妻造平入で中庭を挟んで奥に土蔵を建てます。また、西側の寺院群も健在です。これらの多くは近代以降に建てられましたが、近世に遡る建物もあります。その中に木造の擬洋風建築や近代和風建築、RC造の近代の建物が点在しています。専門家の解説を聞きながら、武生の建物を楽しんでください。

開催概要

主催 日本建築学会北陸支部福井支所
日時 2024年10月5日(土)13:30~15:30
見学先 武生周辺の街並み(福井県越前市)
集合場所 武生駅西口アル・プラザ前(福井県越前市府中1-11-2)13:30集合
解説者 高嶋 猛(元福井大学)
福井宇洋(元福井大学)
対象 どなたでもご参加ください。(中学生以下は保護者同伴)
定員 20名(申込先着順)
参加費 無料
申込方法 9月27 日(金)までにE-mailにて、タイトルに「2024 建築文化探訪申込」、本文に「氏名、所属先、連絡先(TEL、E-mail)」を明記のうえ、お申し込みください。
申込先・問合せ 福井大学 工学部建築建設工学講座 桃井良尚
E-mail:momoi@u-fukui.ac.jp

開催レポート

福井支所では、10月5日(土)に「越前・若狭の建築文化探訪」を開催した。本企画は毎年、建築文化週間事業として企画・開催している。今回は、紫式部ゆかりの地としても注目されている武生において「武生の歴史的街並み散策」と題して参加者を募り、見学会を行った。武生は、北陸道の要衝として古代には越前の国府が置かれ、中近世を通じて府中と呼ばれました。慶長6年(1601年)結城秀康の越前国主に伴い、その家臣・本多富正が府中城主となり城下町が形成された。城下町の中央をほぼ南北に走る北国街道に沿って主要な町家が続き、西側には多くの寺院、東側に侍屋敷や足軽屋敷が配されている。なお、現在の道路の多くが正徳年間のそれとほとんど変わっていない。武生の町家の多くは桟瓦葺切妻造平入で中庭を挟んで奥に土蔵を建てる。また、西側の寺院群も健在です。これらの多くは近代以降に建てられましたが、近世に遡る建物もある。その中に木造の擬洋風建築や近代和風建築、RC造の近代の建物が点在している。

見学会には福井県内外から16名が参加した。現地では、元福井大学の福井宇洋氏と高嶋猛氏を解説者に迎え、徒歩で移動しながらところどころで解説をしていただきながら見学を行った。まず、武生駅西口に集合し、昭和3年に竣工した武生市公会堂記念館(旧武生公会堂)の内部見学を行った。本建物は竣工後何度か改修をしているものの、一部は竣工当時のままが残っていた。次に、府中街屋倶楽部が管理している元薬局だった町家の内部を見学した。多くの薬の看板が室内に残されていて、当時の様子が垣間見られた。その後、大塚呉服店、旧武生郵便局(大正3年)、総社大神宮(大正15年)、旧井上歯科医院(明治45年)、引接寺(本堂は明治11年)、丈生幼稚園(旧福井県警察部庁舎)(明治32年、大正13年移築)などの代表的な建築の外観を見学し、多くの寺院建築、町家建築が残るタンス町通りを通り、府中街屋倶楽部に戻ってきて、当初予定していた通り2時間たっぷり使った見学会は解散となった。見学会では各所で参加者の活発な質疑とそれに対する解説があり、終始和やかに見学することができた。

武生駅にて町の概要説明
武生市公会堂記念館のエントランスでの説明

解説をしていただいた先生方からは、今回街歩きをしてみて多くの町家が取り壊しや改修が行われ、以前調査した時よりも昔のまま残っている町家が減っているとのお話を伺った。北陸新幹線延伸により交通の便が良くなったものの、いかに特徴的な古い建築が数多く残る武生の街並みの魅力を発信し、後世に残していくかが課題だと感じた。

府中街屋倶楽部の見学
武生の町家建築の特徴についての解説

[桃井良尚/福井大学]

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