小松の“石”の産地を巡る

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小松の“石”の産地を巡る

観音下町と滝ヶ原町の過去と現在、そして未来

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石川県小松市では、平成28(2016)年度に、日本遺産「『珠玉と歩む物語』小松~時の流れの中で磨き上げた石文化~」として、石切り場や遺跡、石橋、石蔵など市内31の構成文化財が認定されています。小松市産の石は、建築材料として用いられる日華石(観音下石)と滝ヶ原石、九谷焼の原料である花坂陶石などがあります。
日華石(観音下石)は、観音下町で見られる浮石質凝灰岩で、独特な黄色をしており、湿気や熱に強い性質があり、小松には、観音下石を使用した石蔵が多く残っています。また滝ヶ原石は、現在も採掘される緑色凝灰岩で、耐久性が高く、水に強い性質があり、滝ヶ原町には、明治から昭和初期にかけて造られた5つのアーチ石橋が現存しています。
観音下町と滝ヶ原町の住民ガイドにご協力いただきながら、石にまつわるエピソードとともに石切り場や石造の建築構築物を巡る石文化ツアーを実施します。石切りに関わる歴史や文化を知ることで、石と暮らしの可能性について考える機会とします。

開催概要

主催 日本建築学会北陸支部石川支所
日時 2024年10月12日(土)10:00~夕方頃まで
見学先 観音下石切り場、滝ヶ原石切り場とその周辺
集合場所 10:00 観音下石切り場、14:00 里山自然学校こまつ滝ヶ原 ※現地集合
解説者 橋本信子(観音下町住民ガイド)
山下 豊(里山自然学校こまつ滝ヶ原住民ガイド)
村田一也(石川工業高等専門学校教授)
亀田萌理(滝ヶ原焼作り手)
対象 現地集合が可能な方(中学生以下は保護者同伴)
定員 20名(申込先着順)
参加費 1,000円
申込方法 10月10日(木)までにGoogleフォーム、または電話にてお申し込みください。
<申込用Googleフォーム>
https://forms.gle/E6eh4XKcWkN1R3uy5
問合せ 亀田萌理
TEL:080-8693-3738 E-mail:mei.takigaharayaki@gmail.com

開催レポート

10月12日(土)に、小松の“石”の産地を巡る-観音下町と滝ケ原町の過去と現在、そして未来-と題し、小松市東部にある観音下町および滝ケ原町にある石切り場や石切り場跡、石造アーチ橋などを巡る見学会を実施した。小松市では2018年に日本遺産「『珠玉と歩む物語』小松~時代の流れの中で築き上げた石文化~」が日本遺産に認定されており、今回見学した石切り場や石造アーチはその構成文化財の一部となっている。見学会には石文化に興味のある方を中心に計16名に参加いただいた。参加者は石川工業高等専門学校建築学科の村田一也教授、観音町住民ガイドの橋本信子氏、里山自然学校こまつ滝ケ原住民ガイドの山下豊氏、滝ケ原焼き作り手の亀田萌理氏の解説を受けながら石切り場を見学し、石文化と地域のかかわりなどについて理解を深めた。

午前中の観音下石切り場では、日華石(観音下石)は特徴的な黄色みがかった色、軽さや湿気に強くかびにくい性質を持ち国会議事堂や旧甲子園ホテルにも使われているなどの解説を受けながら見学を実施した。イギリスの芸術家ジュリー・ブルークにより制作された58段の石階段の作品を歩き、これまでの石切りにより形成された約150mの石壁のダイナミックさを間近で感じていただいた。

観音下石切り場

午後からは、滝ヶ原町に場所を移し見学を実施した。滝ヶ原町で産出される石は良質な凝灰岩であり、金沢城や小松城の石垣に利用されるとともに、かつては近畿地方や北海道方面でも利用されるなど地域にとって欠かせない産業であり文化となっている。また、滝ヶ原町にはアーチ石橋が5橋残っており、貴重な地域の風景・遺産となっている。それらの橋を実際に歩くとともに、西山石切り場跡および現在も稼働する本山石切り場の見学を実施した。

今回の見学会では、小松市内にある2地区の石切り場および石切り場跡の見学を中心に小松市の石文化について理解を深める貴重な機会となった。

滝ケ原町西山石切り場跡

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