増田友也設計「衣笠山の家」

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増田友也設計「衣笠山の家」

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今年度は、「衣笠山の家」(小林邸/増田友也設計/1964年竣工)の見学会を開催し、あわせて近代建築遺産の保存活用や継承のあり方を考えるシンポジウムを開催します。
「衣笠山の家」は、戦後に京都大学教授を務め、建築設計と建築論の分野を主導した増田友也の設計により、小林邸として建設されたものです。増田については、2021年に初の回顧展が開催され、2023年には『増田友也の建築世界』(英明企画編集)が発刊されるなど、近年、建築家や研究者としての位置付けの作業が行われてきました。そんな中で「衣笠山の家」は、増田の数少ない現存する住宅作品であり、増田の空間や和風の捉え方が理解できる作品として高く評価されています。
一方「衣笠山の家」は、増田の名作として永く残していくという新たな課題にも直面しています。近年、住み手が世代交代したことを機に、住みながら一般公開を行うなど、学術の世界だけでなく広く社会にその存在を知らせ、保存活用するための活動も始まっていますが、今後の課題も多いです。
今回は、「衣笠山の家」を対象物件として保存活用について助言を続けている一般社団法人リビングヘリテージデザイン(旧住宅遺産トラスト関西)のメンバーとともに、「衣笠山の家」を含む近代建築遺産の保存活用や継承について、見学会ならびにその成果と課題を考えるシンポジウムを開催します。

写真提供:玉田浩之

開催概要

主催 日本建築学会近畿支部近代建築部会
後援 リビングヘリテージデザイン
日時 2024年10月14日(月・祝)13:30~17:00
(見学会:13:30~14:50/シンポジウム:15:00~17:00)
見学先および会場 衣笠山の家(京都府京都市北区衣笠衣笠山町7)
集合場所 お申し込みいただいたのち、ご返送する参加証にて行事の詳細とともにご案内いたします。
解説者(見学会) 玉田浩之(「衣笠山の家」管理者/滋賀県立大学准教授/日本建築学会近畿支部近代建築部会幹事)
笠原一人(京都工芸繊維大学准教授/日本建築学会近畿支部近代建築部会主査)
講演者(シンポジウム) 末村 巧(みんなの不動産代表/リビングヘリテージデザイン代表理事)
高岡伸一(近畿大学教授/リビングヘリテージデザイン理事)
玉田浩之(前掲)
司会(シンポジウム) 笠原一人(前掲)
対象 どなたでもご参加ください。
定員 30名(申込先着順)
参加費 無料
申込方法 FAXまたはE-mailにて、「氏名、所属先、連絡先(TEL、FAX、E-mail)」を明記のうえ、お申し込みください。なお、近畿支部Webサイトからもお申し込みいただけます。
申込先・問合せ 日本建築学会近畿支部事務局
TEL:06-6443-0538 FAX:06-6443-3144
E-mail:aij-kinki@kfd.biglobe.ne.jp
近畿支部Webサイト:http://kinki.aij.or.jp/

開催レポート

去る2024年10月14日(日)午後、日本建築学会近畿支部建築文化週間事業の一環として、「衣笠山の家」(小林邸/増田友也設計/1964年竣工)の見学会を開催し、合わせて近代建築遺産の保存活用や継承のあり方を考えるシンポジウムを開催した。

「衣笠山の家」は、戦後に京都大学教授を務め、建築設計と建築論の分野を主導した増田友也の設計により、小林邸として建設されたものである。増田については、2021年に初の回顧展が開催され、2023年には『増田友也の建築世界』(英明企画編集)が発刊されるなど、近年、建築家や研究者としての位置づけの作業が行われてきた。そんな中で「衣笠山の家」は、増田の数少ない現存する住宅作品であり、増田の空間や和風の捉え方が理解できる作品として高く評価されている。

一方で、増田の名作として永く残していくという、新たな課題にも直面している。近年、住み手が世代交代したことを機に、住みながら一般公開を行うなど、学術の世界だけでなく広く社会にその存在を知らせ、保存活用するための活動も始まっているが、今後の課題も多い。そこで今回は、「衣笠山の家」を対象物件として保存活用について助言を続けている一般社団法人リビングヘリテージデザイン(旧住宅遺産トラスト関西、以下「LHD」と略す)のメンバーとともに、「衣笠山の家」を含む近代建築遺産の保存活用や継承について、その成果と課題を考えるシンポジウムを、見学会と合わせて開催した。

当日はシンポジウムに先立って、1時間余り建物の見学会を行った。「衣笠山の家」の現在の住人であり管理人である玉田浩之(近畿支部近代建築部会幹事/滋賀県立大学准教授/LHD理事)を中心に、笠原一人(近畿支部近代建築部会主査/京都工芸繊維大学准教授/LHD理事)が補助的に建物の案内と解説を担当した。参加者は、打ち放しのRC造によるモダニズムを主としながらも和風が混ざり合った同住宅を細部まで丁寧に見学した。

その後、末村巧(みんなの不動産代表/LHD代表理事)と高岡伸一(建築家/近畿大学教授/LHD理事)と玉田をパネリストとして、シンポジウムを開催した。司会は前述の笠原が担当した。末村は不動産の活用の観点から「不動産と建築遺産」と題して、高岡は建築家としての観点から「建築遺産の活用・改修の課題と可能性」と題して、玉田は管理者や建築史研究の観点から「『衣笠山の家』のこれまでとこれから」と題して、それぞれ短いプレゼンテーションを行い、その後「衣笠山の家」を中心に、住宅遺産の保存活用の課題や展望を論じ合った。

今回は30名で参加者を募集したが、早々に満席となった。当日は欠席者が出たものの33名の参加者と13名の関係者の合計46名が参加した。関西を中心に、東京や四国地方からも参加者があり、関心の高さが感じられるものとなった。

[笠原一人/日本建築学会近畿支部近代建築部会主査、京都工芸繊維大学准教授]

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