近代建築見学会およびシンポジウム
増田友也設計「衣笠山の家」
今年度は、「衣笠山の家」(小林邸/増田友也設計/1964年竣工)の見学会を開催し、あわせて近代建築遺産の保存活用や継承のあり方を考えるシンポジウムを開催します。
「衣笠山の家」は、戦後に京都大学教授を務め、建築設計と建築論の分野を主導した増田友也の設計により、小林邸として建設されたものです。増田については、2021年に初の回顧展が開催され、2023年には『増田友也の建築世界』(英明企画編集)が発刊されるなど、近年、建築家や研究者としての位置付けの作業が行われてきました。そんな中で「衣笠山の家」は、増田の数少ない現存する住宅作品であり、増田の空間や和風の捉え方が理解できる作品として高く評価されています。
一方「衣笠山の家」は、増田の名作として永く残していくという新たな課題にも直面しています。近年、住み手が世代交代したことを機に、住みながら一般公開を行うなど、学術の世界だけでなく広く社会にその存在を知らせ、保存活用するための活動も始まっていますが、今後の課題も多いです。
今回は、「衣笠山の家」を対象物件として保存活用について助言を続けている一般社団法人リビングヘリテージデザイン(旧住宅遺産トラスト関西)のメンバーとともに、「衣笠山の家」を含む近代建築遺産の保存活用や継承について、見学会ならびにその成果と課題を考えるシンポジウムを開催します。
写真提供:玉田浩之