工藤氏は2009年末にチームラボに参画し、ソーシャルブランディングを担いながら、ニューヨーク、ロンドン、パリなど世界各地での展覧会や、近年では「teamLab Phenomena Abu Dhabi」などの大型プロジェクトに携わってきた。本講演では、作品紹介にとどまらず、チームラボが一貫して問い続けてきた「人と世界の関係性」について、その思想的背景が語られた。
講演の中心となったのは、チームラボの作品に通底する考え方である。従来の美術作品は、完成された「モノ」を鑑賞者が外側から眺めるものだった。一方、チームラボの作品では、鑑賞者は作品の内部に入り込み、自らの行為によって作品が変化していく。作品は固定された存在ではなく、人の存在によって生成し続ける「現象」として立ち現れる。 象徴的な例として紹介されたのが、《Flowers and People, Cannot Be Controlled but Live Together》である。この作品では、人が動き回ると花が散り、静止すると花が咲く。ニューヨークでの展示初期には来場者が殺到し、空間から花が消えてしまった。しかしその後、来場者同士が「人が多すぎるのではないか」と話し合い、自発的に人数を減らしたことで、再び花が咲き始めたという。工藤氏はこの出来事について、「他者の存在をどう扱うかという価値観が、作品体験を通じて自然に変化した瞬間でした」と振り返った。