建築文化考2026
地球のマテリアリティ
近代が切り離した「ひと・もの・技術・場所」の再縫合
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私たちはいつから、身の回りの「ものの正体」を知らずに暮らすようになったのでしょうか。
都市を覆う石油化学系の素材や、カタログから選ぶだけの建材は、それがどこから来てどう作られたかという自らの「生い立ち」を隠すことで、便利に流通してきました。本来、地球の一部であるはずのマテリアル(素材)は、いまやリアリティを失い、単なる「消費される記号」へと変質してしまっています。
本シンポジウムでは、近代化の過程で切り離されてしまった「ひと・もの・技術・場所」のつながりを結び直し、建築をふたたび「地球の循環システム」へと接続することを試みます。マテリアルは本来、地球の「地層」から切り出され、人々の「生業(なりわい)」を経て都市空間へと至ります。そのプロセスを改めて見つめ直します。
篠原雅武氏は、「人新世」と呼ばれるコントロール不可能な地球環境の危機を直視し、マテリアルを「人間の都合よく使える資源」としてではなく、私たちと相互に影響し合う「人間ならざるもの」として捉え直したとき、これからの建築にどのような「生きるための空間」が可能となるのかを問います。
安森亮雄氏は、全国で石材が産出する「石のまち」のフィールドワークをもとに、人間とものの行為主体性(エージェンシー)から建築と都市を捉え直し、「マテリアル・エコロジー」の観点から、地質学的営力と建築デザインの循環を取り結んでいきます。
後段のディスカッションでは、両氏と継続的に議論を重ねてきたコメンテーターとして能作文徳氏にもご参加いただき、議論を深めて参ります。
人間、マテリアル、技術、そして歴史。これらを切り離された要素としてではなく、ひとつの「動的なつながり」として捉え直す多層的な議論を通じて、これからの建築に向けた確かな手がかりと新たな視座を共有する場とします。
撮影:加藤詞史

