近代建築見学会およびシンポジウム
西脇市立西脇小学校(国指定重要文化財)
今回は、2019年に保存活用のための改修が竣工し、2021年に国の重要文化財に指定された「西脇市立西脇小学校(旧西脇尋常高等小学校)」の木造校舎を見学いたします。併せて、その改修のあり方や文化財の今後について考えるためのシンポジウムを開催いたします。
西脇小学校の校舎は、戦前から戦後にかけて兵庫県を拠点に活躍した建築家 内藤克雄(1890-1973)の設計により、1937年に竣工しました。当建物は、下見板張りのシンプルなものが3棟平行配置されていますが、要所にセセッション風の装飾が施されており、2008年には兵庫県の景観形成重要建造物に選定され、映画「火垂るの墓」のロケ地としても使用されました。
2013年7月に、耐震性の問題を理由にデザインを模したRC造の校舎への建て替えが西脇市より発表されましたが、卒業生を中心とした市民による保存活動や、日本建築学会近畿支部による保存要望書の提出などの働きかけにより、2015年2月には3棟とも保存活用することが決定されました。その後、神戸大学の足立裕司名誉教授らが中心となって改修が行われ、2019年に竣工しました。その改修は高く評価され、2020年にはグッドデザイン賞とウッドデザイン賞、2021年にはBELCA賞(ロングライフ部門)も受賞しています。
今回は、当建物の見学とあわせて、改修を主導された足立裕司氏からは同校舎の改修のあり方についてを、また、文化庁地域創生本部研究官として2018年の文化財保護法の改正に深く関与された村上裕道氏からはこれからの文化財のあり方についてご講演いただき、当建物の今後を考える機会としたいと思います。