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アントニン・レーモンドが設計した南山大学の校舎群を見学します。南山大学では、2010年代より校舎の建替えが進められていますが、いずれの校舎もレーモンドが設計した赤茶色の壁面とブリーズ・ソレイユなどを踏襲しています。当日は、レーモンド建築について詳しい学内施設担当者と研究者に、「デザインの持続性」という観点から解説いただきます。ぜひ、お申し込みください。

開催概要

主 催 日本建築学会東海支部事業委員会
日 時 11月19日(土)午後
見学先 南山大学(愛知県名古屋市昭和区山里町18)
集合場所 申込締切後、参加申込者へ連絡予定
解説者 調整中
対 象 一般(小学生以下は保護者同伴)
定 員 30名(申込先着順)
参加費 無料
申込方法 9月18日(日)までに、E-mailまたはFAXにて「一般もしくは本会会員種別・氏名・年齢・生年月日・性別・住所・連絡先(E-mailまたはFAX)」を明記のうえ、お申し込みください。
申込先・問合せ 日本建築学会東海支部「建築文化週間 建築ウォッチング」係
E-mail:tokai-sibu@aij.or.jp FAX:052-201-3601

開催レポート

アントニン・レーモンドが1962年に計画案を提示し、1964年に日本建築学会賞(作品)を受賞した南山大学(名古屋市昭和区山里町)の校舎群は、2010年代後半より大規模な増改築が行われた。本見学会では、レーモンドが「南山大学総合計画」を提示してから半世紀以上の年月を経て日本設計と大林組が手掛けた「南山大学 レーモンド・リノベーション・プロジェクト」の全容を、「デザインの持続性」というという観点から見学した。
東海支部の建築ウォッチングは、台風(2019年)と新型コロナウイルス感染症対策(2020年、2021年)による開催中止を経て、4年振りの開催となった。9月18日(日)を締切として募ったところ、関東から関西に至るまで全国各地の参加希望者から申込みをいただいた。11月19日(土)14:00に、参加者26名・解説者3名・スタッフ7名が南山大学正門前に集合し、約2時間の見学を行なった。「南山大学 レーモンド・リノベーション・プロジェクト」(『作品選集2021-2022』日本建築学会, 2022年3月, pp.158-159)および堀田典裕「〈テクトニック〉としての近現代建築史:東海のコンクリート建築」(『愛知の建築』No.697, 2019年1月,pp.14-15)などからなる配布資料をもとに、武田新平氏(日本設計)、鎌田順寛氏(大林組)、堀田典裕氏(名古屋大学准教授)が解説を行なった。

図1:南山大学 正門前総合受付/竣工当時のRC造建物壁面キャンパスマップ・レリーフの上に重ねられた現状建物配置図(撮影:清水隆宏)

最初に、正門前総合受付に設けられたキャンパスマップ・レリーフを前に、河辺伸二東海支部長(名古屋工業大学教授)よりご挨拶いただいた(図1)。続いて、堀田氏は、南山大学の敷地は、「山林都市」の概念の下に都市計画愛知地方委員会が設計した八事土地区画整理組合(1925年)による住宅地開発地区の北端に位置し、現状の学内地形と通路が当時の開発に由来することを解説した。また、南山大学の校舎を特徴付ける赤茶色の壁面は、ノエミ・レーモンド夫人が現地の赤土の色に触発されて決められたと言われていることを伝えた。さらに、PCコンクリートのブリーズ・ソレイユまたはルーバーが四周を現場打RC造の枠に収められ、ファサードに陰影を生み出すとともに建物角に入隅を造り出している点を指摘した。
続いて、武田氏と鎌田氏より、「自然を基本として」という考え方に基づくレーモンド建築に関する増改築の要点について説明を受け、G30・G28大講義室、Q棟、体育館、K棟、N・第2研究室棟、リアンの順に見学を行なった。武田氏は、南北に延びる尾根道の学内メインストリートに直交し、櫛状に建てられたレーモンド建築の配置計画を踏襲する新築部分を含む約35,000m2におよぶプログラム再配置について、異なる学部学科間の交流を計るために連携しやすい位置に設けたという広場・中庭・ラーニングコモンズの配置計画の説明を、スライドを用いて行なった。また、前述した壁面の赤茶色を決定するために、日の当たらない体育館の内壁に残されたオリジナルに近いとされる赤茶色の濃さと格闘し、竣工当時のままにある透張合板や、ノエミが設計した椅子を、そのままに使い続けることの重要性を説いた。一方で、N棟エントランスの窓について、パッへスクエアに対する空間の連続性を確保するため、従来の腰窓からフルハイトガラスに変更し、増改築における合理的判断のあり方について説明を行なった。

図2:図書館棟/建物マスの出角に設けられた外部建具枠によって設けられた入角(撮影:清水隆宏)
図3:体育館周辺に増築された高層棟群(撮影:中村茉生)

さて、こうしたフルハイトガラスの使用は、増築部分のQ棟において最も顕著である。南山大学のレーモンド建築は、建物マス、その外側に設けられたブリーズ・ソレイユまたはルーバーを収める外部建具枠、そしてそれらの垂直または水平のPC板材という、全体から部分へ至る段階的な構成を持つ(図2)。建物-外部建具枠-板材の三者からなる構成は、建物マスの出角に外部建具枠による入角を設け、南山大学におけるレーモンド建築の外観を考えるうえで極めて重要な意匠を呈する。Q棟のみならず最近建てられた新築建物は、この建物出角の意匠を等閑視している点が指摘できるが、意匠の新旧対比として認識するべきなのだろうか(図3)。参加者が、見学後にレーモンド建築のあり方について議論を続けることができたことは大変有意義であった。
末筆となったが、今回の見学会開催について、伊藤諒氏(南山大学学長室)に大変お世話になった。ここに記してあらためて謝意を表する。

[堀田典裕/名古屋大学准教授、東海支部常議員]

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