登録有形文化財の保存・活用を体感する
江別市 北海道林木育種場旧庁舎
北海道林木育種場旧庁舎は、昭和2(1927)年、内務省林業試験場の現在地への移転に伴い建築されました。本建築は、1階壁体を煉瓦造、2階と小屋組を木造とする特異な構造を持ち、外観も、1階は石材を多用し、2階は木造軸組を強調した特異なデザインとなっています。また大規模(床面積1,400㎡余)で、野幌丘陵の頂にあることも相まって、江別市の代表的なランドマークの一つとなっています。
平成8(1996)年、北海道林木育種場の新庁舎完成に伴い、本建築は庁舎としての役割を終えました。その後、江別市が本建築を取得し、平成13(2001)年、国の登録有形文化財建造物となりました。当初は、文化財資料の整理保管場所等として使用されましたが、建物の有効活用、保存方法の模索が続けられ、令和2(2020)年に株式会社珈房サッポロ珈琲館が保存・活用事業者となりました。2021年末には建物の保存的改修が完了し、2022年春から営業を開始しています。
建物の修復にあたっては歴史意匠専門委員会の委員も助言を行い、比較的良好な修復が行われています。
本建築のように大規模な登録有形文化財建造物を民間事業者が活用する事例は、全道的にも貴重で最新のものと考えられます。本建物の見学に加え、「建設の経緯、建物の特徴、保存活用の経緯、事業者の視点」などの内容で講座を開催し、歴史的建造物の保存・活用に関する普及啓発を行います。