第47回「北海道建築賞(2022年度)」表彰式・記念講演会

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レポート

第47回「北海道建築賞(2022年度)」表彰式・記念講演会

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2022年度第47回北海道建築賞を受賞された方々に、受賞作品を語っていただき、その後パネルディスカッションを開催いたします。

開催概要

主 催 日本建築学会北海道支部
日 時 10月28日(金)18:00~20:30
会 場 北海道大学遠友学舎(北海道札幌市北区北18条西7)
講演者 北海道建築賞受賞者
対象 どなたでもご参加ください。
定員 25名(当日先着順)
参加費 無料
参加費 無料
申込方法 E-mailにて「氏名、所属先、住所、電話番号」を明記のうえ、お申し込みください。
申込先・問合せ 日本建築学会北海道支部
TEL:011-219-0702 FAX:011-219-0765
E-mail:aij-hkd@themis.ocn.ne.jp

開催レポート

第47回北海道建築賞の表彰式・記念講演会が、10月28日(金)夕刻より北海道大学遠友学舎において開催された。当日の会場には、建築業界関係者をはじめ、大学関係者、学生など35名ほどが集まり、親密な雰囲気のなかで行われた。表彰式では、北海道建築賞として「浦河フレンド森のようちえん」(照井康穂君/照井康穂建築設計事務所)、北海道建築奨励賞として「夕張市拠点複合施設 りすた」(村國健君/アトリエブンク)と「O project」(宮城島崇人君/宮城島崇人建築設計事務所)が発表され、各受賞者に表彰状と副賞のブロンズ彫刻が手渡された。その後、北海道建築賞委員会主査の小澤より審査経緯・結果および審査講評について報告した。
北海道建築賞は、1975(昭和50)年の第1回以来、その年の応募作品の中から本賞にふさわしい作品を選定してきた歴史がある。一昨年春以来続く新型コロナウイルス感染症の拡大が収束しない状況のため、昨年度に続き本年度の審査を、募集は予定通りに行いつつ、状況によっては中止とする場合もあることを念頭において慎重に進めた。応募のあった16作品について、例年通り「先進性」「規範性」「洗練度」を基本的な評価軸とし、書類審査によって選ばれた5作品の現地審査を経て、北海道建築賞1作品、北海道建築奨励賞2作品を決定した。本賞の決定ならびに授与が本年も予定通りに行えたのは、クライアントや設計者の協力により安全な現地審査を行うことができたこと、また、委員会において時間をかけた活発な議論ができたことによるものである。

記念パネルディスカッションの様子
写真撮影:小澤丈夫

「浦河フレンド森のようちえん」は、道産カラマツ材を使用した正四角錐をユニットとした立体トラスを最大で3層に積み、大屋根に覆われたひとつの空間の下に、子どもたちが駆け回り木登りをするような感覚で自由に動きまわれる場をつくっている。意外性に満ちた空間の繋がりや自然採光の効果、シンプルに整理された木材の接合部など、空間構成、意匠、構造、環境を纏め上げた力量が高い評価を受けた。
「夕張市拠点複合施設 りすた」は、建物内外に、緩やかなゾーニングとそれぞれの場に適したつくりこみを丁寧に行い、新しいまちの拠点に相応しい爽やかな景観を生み出している。ひとつ屋根の下の大空間、大きく張り出した厚い庇、大胆に立ち上がるトップライトなど、積雪寒冷地において培われたデザイン手法を駆使しながら、意匠、構造、環境面において適切かつ総合的に全体が纏められている点が評価された。
「O project」は、RC造の2本の柱によって床と屋根スラブが支持されたガラスばりの増築部分と、構造壁が主となる既存木造部分が明快な対比をなす。増築部分は、隣接する緑豊かな公園を臨む開放的なひとつの空間で、公園側から見るその佇まいは桟橋に停泊する船のようにも見える。複合的な現代の都市空間における建築の現れ方を、小さな住宅を通じて問おうとする態度が評価を受けた。
以上の表彰式に続いて受賞者による記念講演会があり、照井康穂君から「浦河フレンド森のようちえん」の設計について、村國健君から「夕張市拠点複合施設 りすた」の設計について、宮城島崇人君から「O project」の設計についての講演が行われた。各設計者の作品に対する考え方や設計プロセス、それぞれの設計者の建築的なバックボーンなど、多岐にわたる内容のプレゼンテーションがあり、受賞作品と設計者の考え方についての理解を深めることができた。
続いて行われた記念パネルディスカッションは、2名の委員会メンバーが司会・進行を務め、設計者と対話する形で進められた。各プレゼンテーションの内容を起点とし、各作品の位置付けや意義に対する理解を深めるとともに、現代において建築をつくるにあたって、どのような視野と考え方を一般化することができ、共有されうるかを探求する議論が展開された。建築をつくることにおいて、統合という行為は必然とも言えるが、具体的な統合のあり方に内在しえる、ヒトの多様な行動と自由を喚起すること、建築としての明快さを求めること、設計という行為が持ちえる能動性、異物に対するスタンスのとり方など、建築設計に向かう基本的な態度に関わるさまざまな観点から議論が展開された。因習的な狭義の地域性にとらわれることなく、これからの建築のあり方を考えるための本質を問う記念パネルディスカッションとなった。

[小澤丈夫/北海道建築賞委員会主査]

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