子どもが生き生きと過ごす園庭環境

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レポート

第3 回 地域再生・活性化の建築力

子どもが生き生きと過ごす園庭環境

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人口減少・少子高齢化時代に入り、これからの日本で生活する多くの人々にとって、地域の再生・活性化は大きな課題となっています。そこでも核となるのは人であり、建築は人々の生活を支える基盤です。今回は、「子どもが生き生きと過ごす園庭環境」をテーマに、シンポジウムを開催します。幼稚園・保育園・こども園の園庭づくりを実践している第一人者のお二人から、これまでの取り組みや、これから必要となる環境づくりなどについてお話しいただき、参加者との意見交換を通して、地域と建築の持つチカラについて考えます。

開催概要

主 催 日本建築学会北陸支部福井支所
後 援 こども環境学会、北陸こども環境研究会
日 時 9月30日(金)18:00~20:00
会 場 オンライン(Zoom)
講演者 石田佳織(園庭研究所)
安中圭三(コト葉LAB.)
コーディネーター・司会 藤田大輔(福井工業大学准教授)
対 象 どなたでもご参加ください。
定 員 100名(申込先着順)
参加費 無料
申込方法 9月26日(月)までにE-mailにて、タイトルに「2022建築力申込」、本文に「氏名・所属先・連絡先(TEL、E-mail)」を明記のうえ、お申し込みください。
申込先・問合せ 福井大学 工学部建築建設工学講座 山田研究室
E-mail:takeharu@u-fukui.ac.jp

開催レポート

地域の再生・活性化にとって重要である次世代を担う子どもに着目してシンポジウムを企画した。今回は豊かな育ちを支える第一歩となる保育施設の園庭環境を取り上げ、子どもが生き生きと過ごすための工夫について2人の登壇者と聴衆が議論を重ねた。

話題提供題目と関連する写真

安中圭三氏(コト葉LAB.)は、「園庭デザイナーとして川和保育園から学んだこと」と題して、神奈川県横浜市にある川和保育園の園庭から学んだ様々な事項を紹介し、子どもたちや保育の文脈を読み取って環境を整備する必要があることを述べた。特に、園長が園庭を見守る位置から物理的環境が見渡せるよう高さを意識して計画すること、遊具や物を配置する際は明確な意図をもつ必要があること、遊びたい・調べたいと思ったときにすぐできる設えを用意することなど、園庭デザイナーだからこそ気づくことができる内容を具体的にお話しいただいた。
石田佳織氏(園庭研究所)は、「園庭を豊かな場に~建築・設計者だからこそできること~」と題して、スウェーデンの園庭事例や園庭環境を評価する指標などを提示し、エビデンスベースの園庭環境づくりが必要であることを述べた。特に、保育者や子どもの思いや視点を引き出し、形にしていくサポートが重要であること、大人が子どもの頃を思い出し、遊びこんできた環境を次の世代につないでいくことなど、園庭を豊かな場にするために建築関係者が意識すべき事項についてお話いただいた。

シンポジウムの様子(Zoom)

本シンポジウムでは聴講者からのコメントや質問も活発であった。
・ 川和保育園の園庭ができた経緯としては、先代の寺田信太郎園長が園庭整備のために様々な園を見たが理想の園庭が見つからず、自身の経験を踏まえて理想の園庭をつくっていくエピソードなどが紹介された。
・ 雨天時の園庭の活動については、雨もよけられるシェードや服装を工夫することで、雨でも屋外で活動をするか子どもに選択を委ねる姿勢が重要であると紹介された。
・ 子どもの頃の遊びに関する事前アンケートが実施されたことで、子どもの頃の原風景となるような園庭環境を整備していく必要性を確認できた。
・ 海外の園庭に関する研究やエビデンス提示研究をもっと普及させることに尽力する必要があることを確認できた。

以上、本シンポジウムは、1)園庭づくりの様々な事例・考え方、2)良い保育実践と園庭環境の関わり、3)園庭の重要性について、子ども施設関係者や建築関係者、学生・一般の方など様々な方々に理解いただけた場となった。

[藤田大輔/福井工業大学准教授]

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