ハーモニーホールふくい バックヤード見学会

見学会

レポート

第12回 越前・若狭の建築文化探訪

ハーモニーホールふくい バックヤード見学会

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 福井県立音楽堂(愛称:ハーモニーホールふくい)は、芸術文化振興の中核施設として1997年に開館し、大ホールと小ホールの2つのホールを備え、幅広い演奏会に利用されています。建築設計は㈱日建設計、音響設計は㈱永田音響設計が行いました。福井の伝統民家をイメージした特徴のある外観で、音響設備にも大変優れた日本でも有数の音楽ホールです。今回の見学会では、設計者の方から建物について解説いただいた後、音響・照明設備や普段見ることのないバックヤードなども含めて建物内を見学します。また、運営事務局から文化振興、教育行政との連携など運営面での取り組みについても伺いながら、自然と風土を生かした建築と地域に根ざした文化・芸術施設のあり方について考えます。

開催概要

主催 日本建築学会北陸支部福井支所
日時 2023年10月26日(木)13:30~15:30
見学先 福井県立音楽堂「ハーモニーホールふくい」(福井県福井市今市町40-1-1)
解説者 橘高宗平(日建設計)
対象 どなたでもご参加ください。(中学生以下は保護者同伴)
定員 20名(申込先着順)
参加費 無料
申込方法 10月20日(金)までにE-mailにて、タイトル「2023 建築文化探訪申込」、「本文に「氏名、所属先、連絡先(TEL、E-mail)」を明記のうえ、お申し込みください。
※申込期限を10月20日(金)に延長しました。
申込先・問合せ 福井大学 工学部建築建設工学講座 桃井研究室
E-mail:momoi@u-fukui.ac.jp

開催レポート

 福井支所では、10月26日(木)に「越前・若狭の建築文化探訪」を開催した。本企画は毎年、建築文化週間事業として企画・開催している。今回は、「ハーモニーホールふくい バックヤード見学会」と題して福井県内外の建築に興味がある方を対象に参加者を募り、福井県立音楽堂(愛称:ハーモニーホールふくい)の見学会を行った。福井県福井市今市町にあるハーモニーホールふくいは、芸術文化振興の中核施設として1997年に開館し、大ホールと小ホールの2つのホールを備え幅広い演奏会に利用されている。建築設計は日建設計、音響設計は永田音響設計が行い、音響設備にも大変優れた日本でも有数の音楽ホールである。見学会はホールの使用スケジュールの都合で土日の開催が難しく、平日昼間の開催になったこともあり、当日は8名の参加であった。現地では、当時設計者の一人であった橘高宗平氏(日建設計)を解説者に迎え、公益財団法人福井県文化振興事業団の職員の皆様にもご協力をいただき、さまざまなところを見せていただいた。

大ホールホワイエにて設計趣旨の説明
大ホールでの説明

 まず、大ホールのホワイエでは、橘高氏からコンペ案のパネルを使って、福井の伝統的な民家である堀口家の屋根形状やバイオリンの平面形状をモチーフにしたことの説明があった。また、ホワイエ上部の円錐形と円筒系の相貫線を図面に描く際に、当時3次元CADはなかったのでコンピュータプログラムで座標点を算出していたことなどの苦労話を伺った。大ホールでは、シューボックス型の本格的なクラシックホールに拘ったこと、当時は珍しかった車いす席を中段に設けたことや音響設計者との協働で生まれた床下の空洞などの設計秘話について説明があった。その後、ハーモニーホールの特徴でもある充実した楽屋やリハーサル室を見学し、演奏者が最善のコンディションで演奏できるための空間を目指したことの説明があった。次に、ホール上部のピンルームに上がりピンスポット等の舞台照明装置等を見学した。小ホールでは、さまざまな用途に合わせて残響時間を変えるための壁の可動式反響板やステージ後部の可動壁を実際に動かしてみながら、その役割について説明があった。最後に、利用頻度が非常に高い2階の練習室を見学し、エントランスホールに戻り全体を通しての質疑応答となった。見学会では各所で参加者の活発な質疑とそれに対する解説があり、終始和やかに見学することができた。また、職員の皆様のご協力もありスムーズに見学ができ、当初予定していた通り2時間たっぷり使って見学会は解散となった。

今回の見学会は、建物の竣工から四半世紀経って、設計者が当時の設計を思い出しながら現地で解説するという貴重な機会になった。意図せず、その当時の思いと現在の使われ方を答え合わせするような形となり、見学会後、参加者のみならず設計者や建物管理者の皆様にとっても大変有意義な時間になったという感想をいただいた。

[桃井良尚/福井大学准教授]

ホール上部の照明設備の見学
小ホールの可動壁

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