神代小路の街並み(長崎県雲仙市)

見学会

開催終了

神代小路の街並み(長崎県雲仙市)

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雲仙市神代小路地区は、島原半島の北端に位置し、江戸時代の武家屋敷の街並みを伝えるとして、2005年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。この地区は、現在は長崎県ですが、江戸時代は有明海を真北に40km北上した、佐賀藩の家老格の所領でした。建築文化も佐賀の色合いが濃いです。
 街並みは、旧鍋島邸(国重要文化財)を中心に、5本の小路で構成されています。2016年以降、メインの小路に面する、鍋島家養育係の屋敷、小家老屋敷の長屋門、筆頭着座屋敷の座敷などの復原が進められ、往時の景観が蘇りつつあります。
 本見学会は、これらの復原調査に関わった専門家の解説を聞きながら、街並みを散策します。地元の協力を得て、普段は見られない建物の内部まで見学します。

開催概要

主催 日本建築学会九州支部長崎支所
協力 雲仙市教育委員会生涯学習課、雲仙市観光物産課
日時 2023年10月21日(土)11:45~15:30
見学先 神代小路地区(長崎県雲仙市国見町)
集合場所 島原鉄道神代駅(長崎県雲仙市国見町神代乙454-2)11:45集合
解説者 山田由香里(長崎総合科学大学教授)
田中翔大(長崎総合科学大学助教)
対象 どなたでもご参加ください。
定員 25名(申込先着順)
参加費 無料(昼食付き)
申込方法 10月10日(火)までにE-mailにて、タイトルに「2023神代小路の街並み見学会申込」、本文に「氏名、所属、連絡先(E-mail、当日連絡のつくTEL)」を明記のうえ、お申し込みください。
申込先・問合せ 長崎総合科学大学 工学部建築学コース 田中翔大研究室
E-mail:tanaka_shodai@campus.nias.ac.jp

開催レポート

 九州支部では、長崎支所が担当し、10月21日(土)に「神代小路(こうじろくうじ、雲仙市)の街並み」見学会を開催した。参加者は36名(幼児3名、大学生12名、長崎県外8名、長崎県内13名)を得た。地元の食材を使った郷土料理を味わい、街並みの説明を受けた後、神代小路地区の7箇所の武家屋敷と街並みを見学した。
 神代小路地区は、島原半島の北端に位置し、江戸時代の武家屋敷の街並みを伝えるとして、2005年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。現在は長崎県だが、江戸時代は有明海を真北に40km北上した、佐賀藩の家老格の所領で、建築文化も佐賀の色合いが濃い。街並みは、旧鍋島邸(国重要文化財)を中心に、5本の小路で構成される。2016年から2023年にかけて、メインの本小路と上小路に面する、鍋島家養育係の屋敷、小家老屋敷の長屋門、筆頭着座屋敷の座敷などの復原が進められ、往時の街路景観が蘇った。見学会は、これらの復原調査に関わった山田の解説を聞きながら、街並みを散策した。所有者と雲仙市の協力を得て、普段は見られない建物の内部や庭園まで見学した。

旧鍋島邸と参加者集合写真
花を飾って空家の座敷を公開

 神代小路地区は、2005年に伝建地区に選定されるまで、緋寒桜や普賢岳など、街並みよりも自然景観で知られた。また住民の意向によって、地区内に休憩所や飲食所がない。街並みを見学しようにも、通常は所要時間30分程度で済んでしまう。毎年、多額の公的補助金を使って修理修景するにも関わらず、建築を楽しむ企画が少ないのは残念なことであった。今回は、日本建築学会の文化事業であることから、神代小路地区の建築を楽しむことを試みた。郷土料理を味わい、空き家の座敷に地元の花屋に依頼してフラワーアレンジメントを飾り、室内まで見学できるようにした。建築を主に解説するパンフレットを作成し、配布した。結果として3時間以上、神代小路に滞在でき、建築・庭園・景観が見学者を惹きつけることを企画として見せることができた。参加者の半数が30歳代以下で、めったにない若い見学者と地元にも大変好評だった。今回の文化事業がきっかけとなって、建築を楽しむ企画が広がることを期待したい。開催にご協力いただいた諸氏に深く感謝します。

[山田由香里/長崎総合科学大学教授]

街路景観と2022 年に復元した長屋門
復元長屋門の室内展示

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