丸の内から旧江戸城、九段まで

見学会

レポート

トウキョウ建築まち歩き2023

丸の内から旧江戸城、九段まで

シェアする
LINE

今回は、東京駅丸の内駅前広場から出発します。ここから皇居前広場に至る現在の景観が整備されたのは近年のことです。舗装の意匠によって行幸通りの幅員が広場に延長され、左右に聳える超高層ビルともあいまって、皇居前広場まで軸線が延びる象徴的な景観が生み出されています。この先に続くルートは起伏が多くなります。大手門から旧江戸城の三の丸、二の丸、本丸だった皇居東御苑へ。天守閣が再建されることがなかった天守台に登り、平川門を出るとパレスサイドビル。北の丸公園を清水門から出て九段下へ。九段坂を上って、靖国神社の遊就館前を目指します。辿ってきた地形、街区、そして建築に織り込まれた、江戸開府から現代までの歴史に思いを巡らすまち歩きです。ぜひ、ご参加ください。

※定員に達したため、受付を終了しました(10月20日追記)

開催概要

日時 2023年10月28日(土)13:00~17:00
見学先 丸の内、旧江戸城、北の丸公園、九段、靖国神社
集合場所 東京駅丸の内駅前広場(東京都千代田区丸の内1-9)12:45集合
ナビゲーター 大森晃彦(建築メディア研究所代表)
対象 どなたでもご参加ください。(歩きやすい靴と装備でご参加ください)
定員 30名(申込先着順)
参加費 無料
申込方法 上記の「お申し込み」ボタンから専用フォームにアクセスのうえ、お申し込みください。

開催レポート

 「丸の内から旧江戸城、九段まで」と題し、「東京駅丸の内駅舎」(辰野金吾、1914年)前から、旧江戸城本丸を挟んで反対側の位置にある靖国神社の「遊就館」(伊東忠太、1931 年)前までを歩いた。直線距離で約2.5km。歩行距離は約5.5kmである。10月28日(土)に開催し、計32名の参加者には、見どころの解説と、行程の地図、関係年表を収録したハンドブックを配布した。そして全員にインカムを付けてもらい、ナビゲーターが解説しながら行程を巡った。
 2017年から続く「トウキョウ建築まち歩き」は、2020年のコロナ禍による中止があって今回で7年目の第6回。これまで歩いてきたのは、「麻布・飯倉」(2022年)、「上野・谷中」(2021年)、「日本橋・深川・本所」(2019年)、「湯島・本郷」(2018年)、原宿・渋谷・代官山(2017年)である(まち歩きMAP等を後述の専用Webページで公開中)。これらのエリアを地図(陰影起伏図)上にプロットしてみると、旧江戸城を中心に置く今回のエリアが正に中心。まち歩きの本丸に踏み入ることになった。

これまでのまち歩きエリア

行程のあらましと見どころ
 行程は3つのエリアに分けられる。まず第1エリアは、東京駅から丸の内を通って大手門まで。第2エリアが旧江戸城本丸と北の丸地区。第3エリアが九段下から靖国神社までである。
 特に第1エリアは見どころが実に多岐にわたり、江戸初期の日比谷入江の埋め立てや川のつけ替えといった天下普請の都市大改造、明治のオフィス街のはじまりから煉瓦造連続アーチの高架線と中央停車場(東京駅)、さらには近年の都市の景観と保存問題e.t.c. と、各時代の歴史が積層していて話題が尽きない。皇居の緑の中に吸収されていく東京駅丸の内駅舎から延びる都市軸が印象的だ。
 第2エリアの旧江戸城本丸跡の台地は、広い芝生の先に明暦の大火で焼失後に再建された天守台(天守は再建されず)が見えるだけで、本丸御殿の痕跡はない(江戸城が明治政府軍に明け渡される数年前に焼失、再建されなかった)。しかしこの地は、山の手の台地が出島のように下町の低地に突き出た場所であり、地形と都市の成り立ちを考える絶好の場所である。2020年から本丸休憩所の脇の木造の建物で、寛永期の天守の1/30模型が公開されていて、その破風には三つ葉葵の紋が金色に輝いている。
 北の丸の清水門を出て九段下から靖国神社に至る第3エリアは、ふたつの淵(千鳥ヶ淵と牛ヶ淵)と九段坂が見どころ。建物では、小野武雄原案、川本良一実施設計、伊東忠太顧問の「九段会館」(旧軍人会館、1934年)を保存復元した「九段会館テラス」。「帝冠様式」として括られる和風の屋根を持つ建築のなかでも、川本良一によるその直線的なデザインには独自の美学がある。靖国神社のふたつの鳥居も直線的な構成だが、これは近代的素材による黒木鳥居だろう。

まち歩きの行程

まち歩きアーカイブ
今回を含め、冒頭で紹介したこれまでのまち歩きの地図他の資料は、専用Webページ(https://bunka.aij.or.jp/machiaruki/)で公開しています。参照いただければ幸いです。

[大森晃彦/建築メディア研究所代表]

シェアする
LINE

関連イベント